2009 年 17 巻 2 号 p. 208-219
女子大学生215名を対象に,進路選択時の親子間コミュニケーションの特徴とアイデンティティとの関連を検討した。親が女子青年に対して示す“結合性”は,女子青年のアイデンティティ達成得点と正の相関があった。女子青年の“模索”は,母親に対しては女子青年の示す“議論による立場の明確化”と,父親に対しては“親への結合性”と正の相関があった。親が示す“独自性”と“結合性”から,親のコミュニケーションタイプを分類した。母親と父親ともに,独自性と結合性の両方を高く示す“相互交渉”や結合性だけが高い“応援”タイプは,両方低い“不明確”タイプよりも,女子青年のアイデンティティ達成得点が高かった。父親のみ,“不明確”よりも“相互交渉”タイプの方が,女子青年の“模索”得点が高かった。親との不一致を避けないこと,親から応援や励ましが示されることと,女子青年のアイデンティティとの正の関連が示唆された。