パーソナリティ研究
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17 巻 , 2 号
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原著
  • ――テキストマイニングによる分析
    川島 大輔, 小山 達也, 川野 健治, 伊藤 弘人
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 2 号 p. 121-132
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究は医師が一般診療場面において希死念慮を有した患者にどのようなメッセージを呈しているのかを探索的に検討することを通じ,医師の自殺予防に対する説明モデルを明らかにしようとしたものである。希死念慮者への医師の対応に関する調査において,これまで死にたいと述べる患者に自殺をとどまるようにメッセージを伝えた経験があると回答した166名の医師の自由記述を対象に,テキストマイニングの手法を用いて分析を行った。結果,頻繁に用いられる言葉が同定され,また対応分析により「共感的理解と告白」,「精神科への相談」,「病気の診断と回復の見通し」,「自殺しない約束」,「生の価値と他者への配慮」の5つのクラスターが確認された。さらに得られたクラスター変数と患者の性別および年齢との関連についても検討を行った。
  • 西野 泰代, 小林 佐知子, 北川 朋子
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 2 号 p. 133-143
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,抑うつ傾向生起の心理的プロセスにおける日常ストレッサーの影響と自己価値の役割について明らかにすることを目的とした。3回にわたる質問紙調査全てに回答した小学5–6年生326名を分析対象とした。「日常ストレッサー」から「抑うつ傾向」へと至るプロセスに「自己価値」を介在させた仮説モデルに基づき,交差遅れ効果モデルを用いた共分散構造分析を実施した結果,日常ストレッサーは抑うつ傾向を促進する方向で直接影響を及ぼし,また,自己価値と抑うつ傾向には双方向の因果関係がある可能性が示された。日常ストレッサーの下位尺度である友人関係ストレッサー,学業ストレッサー,家庭ストレッサーはそれぞれ抑うつ傾向を促進し,自己価値を低減する方向に影響を及ぼしていた。さらに,抑うつ傾向を従属変数とする2要因分散分析を実施したところ,友人関係ストレッサーに対する自己価値の緩衝効果が示され,友人関係ストレッサーへの評価が高くても,自己価値が高ければ,抑うつ傾向の出現を促進しにくくなることが明らかにされた。
  • 髙坂 康雅
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 2 号 p. 144-156
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大学生における恋愛関係の影響を明らかにすることである。大学生340名を対象に,予備調査をもとに作成した恋愛関係の影響に関する項目75項目について回答を求めた.因子分析の結果,「自己拡大」,「充足的気分」,「拘束感」,「関係不安」,「経済的負担」,「生活習慣の乱れ」,「他者評価の上昇」という7因子が抽出され,いずれも恋愛関係にある者の方がない者よりも強く感じていたことから,これら7因子が恋愛関係の影響であることが確認された。恋愛関係の影響と交際期間との関連はあまりみられなかったが,「拘束感」と「他者評価の上昇」は男子の方が,「生活習慣の乱れ」は女子の方が,強く感じていることが明らかとなった。また,女子では,関係満足度と「自己拡大」,「充足的気分」,「拘束感」,「関係不安」,「生活習慣の乱れ」が関連し,関係関与度と「充足的気分」が関連していたが,男子では,関係満足度と「充足的気分」との関連がみられただけであった。
  • 山口 正寛
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 2 号 p. 157-167
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,愛着理論における愛着機能に焦点を当てた,愛着機能尺度(Attachment-Function Scale; AFS)を作成することである。AFSは,「安全基地」,「安全な避難所」,「近接性の維持」を下位概念と設定し,全15項目からなる尺度を構成した。本尺度を大学生246名に実施し,探索的因子分析をしたところ,上記の3因子が抽出され,確証的因子分析においても高い適合度が示された。また,α係数においても高い信頼性が示された。相関分析の結果から,愛着尺度であるECR-GOとの関連が示され,孤独感や絶望感とも負の相関が示された。これらの結果から,AFSは,内的作業モデルにおける「自己モデル」と「他者モデル」,および社会的適応性と関連する尺度であると考えられた。したがって,AFSは愛着理論における愛着機能を測定する尺度であると考えられ,AFSの信頼性と妥当性の一部が確認された。
  • ――感情と行動を媒介にして
    外山 美樹
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 2 号 p. 168-181
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,中学生812名を対象とし,生徒の学業成績に影響を及ぼす社会的比較の因果プロセスについて検討することであった。本研究の結果より,自分より優れた他者と比較する社会的比較には,学業成績の高さに結びつくプロセスと,逆に学業成績の低下につながるプロセスの両者があることが示された。そして,両者のプロセスには,社会的比較に伴う感情と,その後に行われる行動が媒介していることがわかった。すなわち,社会的比較が行われた際に意欲感情が喚起されると,学習活動に対する努力行動へとつながり,その結果,学業成績につながるというプロセスが支持された。一方,社会的比較の結果,自己評価が脅威にさらされるようなネガティブな感情(卑下感情,憤慨感情)が喚起されると,学習活動に対する回避行動が行われやすく,学業成績の低さに導くというプロセスが確認された。
  • 山内 貴史, 須藤 杏寿, 丹野 義彦
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 2 号 p. 182-193
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,わが国の大学生にみられる被害妄想的観念を測定するため,Freeman et al. (2005) のParanoia Checklistの日本語版 (JPC) を作成し,その内的一貫性および妥当性を検証することであった。研究1では,大学生244名がJPCおよびパラノイア尺度からなる質問紙に回答した。その結果,JPCは1因子構造であること,およびJPCの十分な内的一貫性が確認された。また,パラノイア尺度はJPCの頻度,確信度,苦痛度得点と有意な相関がみられた。研究2では,大学生124名が,特性不安,自尊心,社会不安,特性怒り,ソーシャル・サポートおよびJPCからなる質問紙に回答した。JPC得点を基準変数とした重回帰分析の結果,不安,社会不安および怒りの強い者,およびソーシャル・サポートの少ない者は被害妄想的観念が強かった。以上の結果から,JPCの内的一貫性と妥当性の一部が確認された。また,不安,社会不安,怒り,ソーシャル・サポートは被害妄想的観念の形成や維持に重要な要因であることが示唆された。
資料
  • 荒川 歩, 原島 雅之
    原稿種別: 資料
    2009 年 17 巻 2 号 p. 194-207
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    刑事事件の判例文において「性格」という言葉がどのようなときにおいて用いられるのかについて探索的に検討した。裁判所ウェブサイト上の判例検索システムを用いて判例を抽出した。裁判年月日が平成8年1月1日から10年間の判例について,「性格」という言葉を含む刑事事件のみを対象とした。その結果182件が該当し,346のカードに分けられた。その内容をまとめると,被告人に関しては,「犯罪事実の認定や量刑判断には直接結び付けられていない経緯における記述」,「被告人の性格に基づく犯行理解」,「事件の背景としての被告人の性格」,「量刑判断の材料としての性格」の4つの側面で論じられており,それぞれで扱われる性格特徴も異なっていた。これらのことは,それが事実認定や量刑判断にどこまで影響しているかはわからないが,性格という概念が,事件を理解し,評価するうえで様々な側面で用いられていることを示すと考えられた。
  • 高橋 彩
    原稿種別: 資料
    2009 年 17 巻 2 号 p. 208-219
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    女子大学生215名を対象に,進路選択時の親子間コミュニケーションの特徴とアイデンティティとの関連を検討した。親が女子青年に対して示す“結合性”は,女子青年のアイデンティティ達成得点と正の相関があった。女子青年の“模索”は,母親に対しては女子青年の示す“議論による立場の明確化”と,父親に対しては“親への結合性”と正の相関があった。親が示す“独自性”と“結合性”から,親のコミュニケーションタイプを分類した。母親と父親ともに,独自性と結合性の両方を高く示す“相互交渉”や結合性だけが高い“応援”タイプは,両方低い“不明確”タイプよりも,女子青年のアイデンティティ達成得点が高かった。父親のみ,“不明確”よりも“相互交渉”タイプの方が,女子青年の“模索”得点が高かった。親との不一致を避けないこと,親から応援や励ましが示されることと,女子青年のアイデンティティとの正の関連が示唆された。
ショートレポート
  • 服部 陽介, 唐沢 穣
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 2 号 p. 220-222
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    Depressed individuals have been characterized to lack cognitive resources during thought suppression. In order to probe psychological mechanisms underlying this phenomenon, we compared response latencies among depressed and non-depressed college students under lexical decision task. Seventy-three participants judged whether a presented letter string was a word or not while thinking or not thinking various concepts. The depressed individuals performed better than the non-depressed, only under the suppression instruction, suggesting that the depressed failed to allocate cognitive resource to the suppression task under the condition. Implications for the study of cognitive processes taking place among the depressed are discussed.
  • ――向性概念をめぐって
    佐藤 淳一
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 2 号 p. 223-225
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    The relationship between Kretschmer's temperament types and Jung's psychological types of introversion and extraversion was investigated. Undergraduates, 304 in total, completed the common items of Type-Trait Integrated Questionnaire and Jung's Psychological Types Scale. Results indicated that cyclothymic temperament (syntonic) scores correlated positively with extraversion-introversion scores, and that schizothymic temperament scores correlated negatively with extraversion-introversion scores. In addition, there were significantly more extraverted types than introverted types in cyclothymic personality type, and there were significantly more introverted types than extraverted types in schizothymic personality type. These findings supported previous theoretical studies.
  • 星野 貴俊, 丹野 義彦
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 2 号 p. 226-228
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    Self-leakage is defined as a subjective sense that one's inner state is leaking out for others to know without verbal expression, causing anticipation of negative outcomes. A similar phenomenon is egorrhea symptoms of “taijin kyofusho” (social phobia). The mechanism of self-leakage has not yet been hypothesized, and we aimed at proposing a causal model in the present study. Path analysis suggested that self-leakage was partly caused by the tendency to have delusional ideations and trait anxiety, i.e., interpretation bias. But, contrary to our prediction, social anxiety, fear of negative evaluation, and public self-consciousness did not have enough influence on self-leakage.
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