パーソナリティ研究
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対人恐怖傾向の要因としての自己愛的脆弱性,自己不一致,自尊感情の関連性
上地 雄一郎宮下 一博
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2009 年 17 巻 3 号 p. 280-291

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抄録

過敏型自己愛人格と対人恐怖症者に共通の人格構造としての過大な理想自己が臨床家によって確認されている。Broucek (1991) や岡野 (1998) は過敏型自己愛人格を過大な理想自己と卑下された現実自己との乖離を反映する恥意識に悩む人とみなすが,それに対してKohut (1971) が言うには,彼らは高い理想自己をもつ人ではない。本研究の目的は,対人恐怖発現の要因の間の関係を明らかにし,Broucekおよび岡野の見解とKohutの見解を総合的に説明することであった。まず,自己愛的脆弱性尺度の短縮版を作成した。この尺度による調査を216名の学生に実施し,他の尺度との相関を通して妥当性を確認した。次に,この尺度と,自己不一致(理想自己–現実自己の不一致),自尊感情,対人恐怖傾向に関する質問紙による調査を,249名の学生に実施した。その結果,自己不一致とともに自己愛的脆弱性が直接的・間接的に対人恐怖傾向を強めることが示唆された。さらに,自己不一致と自己愛的脆弱性にも関連が見出された。

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© 2009 日本パーソナリティ心理学会
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