パーソナリティ研究
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原著
現代青年においてアイデンティティ(自我同一性)の危機は顕在化するのか
中谷 陽輔友野 隆成佐藤 豪
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2011 年 20 巻 2 号 p. 63-72

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抄録

Eriksonのいうアイデンティティ危機が現代青年にどの程度の問題として顕現しうるかどうかについて,神経症様症状が示されるか否かという点から検討した。アイデンティティの指標として信頼性・妥当性が十分に検証されたMEIS(谷,2001, 2008),および神経症様症状を測定する指標として臨床場面で使用頻度が高いGHQ28(中川・大坊,1985)を使用し,大学生302名を対象に調査が行われた。対象者をクラスタリングして一元配置分散分析を行った結果,最もGHQ得点が高かったのはMEIS下位尺度得点すべてが低い同一性拡散群であり,他の群においてもカットオフポイント以上の得点が示された。すなわち,現代日本において青年期特有のアイデンティティ危機が生じており,アイデンティティ形成に焦点を当てた発達支援の必要性が示唆された。また重回帰分析の結果から,自己の内的一貫性・連続性だけでなく,環境的側面としての社会との結びつきや位置づけも考慮することが重要だと考えられた。

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© 2011 日本パーソナリティ心理学会
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