2012 年 20 巻 3 号 p. 143-154
本研究は,自己と他者に対するスキーマを測定するために作成された日本版Brief Core Schema Scale(JBCSS)の信頼性,妥当性について検討をした。あわせて本研究では,自覚的な抑うつとスキーマとの関連について検討した。JBCSSの因子構造を確認するための確証的因子分析からは,「自己ポジティブ(PS)」,「自己ネガティブ(NS)」,「他者ポジティブ(PO)」,「他者ネガティブ(NO)」の4因子構造が確認された。さらに,クラスター分析によってこれら4因子を組み合わせたスキーマパターンの類型化を試みたところ,4つのクラスターが抽出された。分散分析の結果,自己および他者の両方に対してネガティブなスキーマをもつ群は,他の群と比べてもっとも抑うつ得点が高かった。こうした結果から,JBCSSで測定される自己と他者に対するスキーマを組み合わせて検討することで,症状に関するより詳細な情報が得られることが示唆された。