パーソナリティ研究
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20 巻 , 3 号
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原著
  • ――クラスターパターンの類型化および抑うつとの関連
    内田 知宏, 川村 知慧子, 三船 奈緒子, 濱家 由美子, 松本 和紀, 安保 英勇, 上埜 高志
    原稿種別: 原著
    2012 年 20 巻 3 号 p. 143-154
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,自己と他者に対するスキーマを測定するために作成された日本版Brief Core Schema Scale(JBCSS)の信頼性,妥当性について検討をした。あわせて本研究では,自覚的な抑うつとスキーマとの関連について検討した。JBCSSの因子構造を確認するための確証的因子分析からは,「自己ポジティブ(PS)」,「自己ネガティブ(NS)」,「他者ポジティブ(PO)」,「他者ネガティブ(NO)」の4因子構造が確認された。さらに,クラスター分析によってこれら4因子を組み合わせたスキーマパターンの類型化を試みたところ,4つのクラスターが抽出された。分散分析の結果,自己および他者の両方に対してネガティブなスキーマをもつ群は,他の群と比べてもっとも抑うつ得点が高かった。こうした結果から,JBCSSで測定される自己と他者に対するスキーマを組み合わせて検討することで,症状に関するより詳細な情報が得られることが示唆された。
  • 安保 恵理子, 須賀 千奈, 根建 金男
    原稿種別: 原著
    2012 年 20 巻 3 号 p. 155-166
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本論文における研究では,the Revision of Appearance Schemas Inventory(ASI-R; Cash, Melnyk, & Hrabosky, 2004)の日本語版(the Japanese Version of the ASI-R: JASI-R)を開発し,外見スキーマとボディチェッキング認知の各因子間における関連性を検討した。その結果,JASI-Rは,「自己評価の特徴」と「動機づけの特徴」の2因子から構成され,その信頼性と併存的妥当性は,許容範囲内であった。性差を検討した結果,女性は男性よりも,両因子において得点が有意に高いことが示された。外見スキーマの両因子とボディチェッキング認知の各因子の相関を検討した結果,有意な中程度から弱い相関が認められたことから,これらは比較的異なる概念であることが示された。
  • 森田 麻登
    原稿種別: 原著
    2012 年 20 巻 3 号 p. 167-178
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,抑うつ傾向と感情価が時間評価に及ぼす影響について検討することであった。大学生23名(抑うつ群10名,非抑うつ群13名)を対象に,標準化された感情価画像44枚を呈示する実験を行った。そのうち快,中性,不快の感情価を代表する9枚が表示されていた時間について,実験参加者に秒単位で回答を求め,評価時間を群間で比較した。なお,実際の呈示時間は6秒であった。不快な感情を喚起する画像の条件では,抑うつ群の評価時間が非抑うつ群の時間評価よりも有意に長く評価されることが明らかとなった。この結果から,抑うつ傾向を持つ者は,不快刺激をきっかけに抑うつ的な情報処理が活性化されやすく,必要以上にネガティブな長期記憶を思い出すことにより,時間評価が延長する可能性が示唆された。
  • 野崎 優樹
    原稿種別: 原著
    2012 年 20 巻 3 号 p. 179-192
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,レジリエンス及びストレス経験からの成長と情動知能の関連の検証を自己領域と他者領域の区別を軸として行った。大学生245名(男性104名,女性141名)を分析対象とした。対象者は,情動知能,ストレス経験からの成長,レジリエンスの各尺度から構成される質問紙に回答した。情動知能に性差が認められたため,男女別の多母集団の同時分析を行った結果,男性では,最もストレスが大きかった経験に対して他者領域のレジリエンスを活かすことが,他者の受容という成長を通じて,情動知能の他者領域を高める影響を与えることが示された。他方,女性では,自己領域のレジリエンスを活かすことが,自己への信頼という成長を通じて,情動知能の自己領域と他者領域の両方を高める影響を与えることが示された。以上の結果に基づき,性差が生じた背景及び,環境要因と情動知能との関連について議論を行った。
  • 徳永 侑子, 堀内 孝
    原稿種別: 原著
    2012 年 20 巻 3 号 p. 193-203
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    自己概念の明確性は,個人の自己概念の内容や自己についての信念が,明瞭に確信を持って定義され,内的な一貫性を持ち,通時的に安定している程度を表す概念である。Campbell et al.(1996)の自己概念明確性尺度を用いた研究が広く行われているが,本邦においては十分な妥当性および信頼性が確認された自己概念の明確性尺度は未だない。そこで本研究は,自己概念の明確性尺度を邦訳し,信頼性・妥当性を検討することを目的とした。研究1では,邦訳版尺度が原版同様に1因子構造であることが確認された。また,先行研究をもとに選出した他の概念尺度との関連が確認された。研究2では,再検査信頼性が確認され,研究3においては,対自的同一性,自己像の不安定性,自己斉一性・連続性尺度との関連から併存的妥当性が検討された。また,自尊感情と抑うつにおいて,前述の3尺度に対する増分妥当性を有することが明らかとなった。
資料
  • 市村 美帆
    原稿種別: 資料
    2012 年 20 巻 3 号 p. 204-216
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,自尊感情の変動性の有効な測定手法の検討であった。本研究では携帯電話のメール機能(研究1)とweb機能(研究2)を用いて,7日間1日1回状態自尊感情を測定した。加えて,経験した出来事や感情についても測定し検討を行った。その結果,ポジティブな出来事や感情を経験すると,状態自尊感情が高く,ネガティブな出来事や感情を経験すると,状態自尊感情が低いことが示された。また,研究2において,自尊感情が高く安定している者よりも,低く安定している者が抑うつが高く,自尊感情が高く不安定である者と低く不安定な者の間には差がないことが示された。以上から,本研究の手法が自尊感情の変動性の有効な測定手法であることが示された。
  • ――主要5因子理論の観点から
    安田 傑, 中澤 清
    原稿種別: 資料
    2012 年 20 巻 3 号 p. 217-228
    発行日: 2012/03/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    色・形問題は,知覚に基づくパーソナリティ理論の一つである。この理論では従来,色彩の利用と形態の利用は1次元上の対極概念として扱われてきたが,本研究では色彩利用性と形態利用性の間に2次元斜交性を想定した上で,パーソナリティ特性が両利用性に与える影響性を検討した。パーソナリティ特性の測定にはNEO-PI-Rが用いられ,色彩利用性と形態利用性の測定には3種類の類似性評価検査(3-SET)が用いられた。収集されたデータのうち,265名の大学生・専門学校生のデータに対して,マルチレベル構造方程式モデルによる分析が行われた。その結果,NEO-PI-Rの主要5因子のうち,開放性は色彩利用性に正の影響を与えることが示唆された。また,30下位次元のうち,衝動性と達成追求は形態利用性に負の影響を与えることが示唆された。最後に,心理査定における本研究の知見の利用可能性が検討された。
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