2016 年 25 巻 2 号 p. 123-134
本研究の目的は,若年フルタイム就労者の仕事満足に対するプロアクティブ行動の7つの方略の効果を検討することであった。質問紙調査を行い,学卒後5年以内のフルタイム就労者168名を分析対象とした。重回帰分析の結果,仕事満足に対して,プロアクティブ行動の7つの下位尺度のうちポジティブフレームのみが有意な効果を示した。若年フルタイム就労者は,他者や環境への働きかけを行うより,自己焦点型の方略であるポジティブフレームを選択しており,与えられた状況をポジティブに捉えることが仕事の満足感に影響を与えることが示唆された。しかし,プロアクティブ行動は先を見越した行動であることから,一時点のプロアクティブ行動についての効果については,ある程度の期間が経過してから効果を測定し検討することが今後は必要であろう。