パーソナリティ研究
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25 巻 , 2 号
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原著
  • 桃木 芳枝, 中谷 素之
    2016 年 25 巻 2 号 p. 101-111
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究では性役割意識が認知スタイルを介してメンタルヘルスに与える影響を検討した。調査は認知スタイルを測定する共感とシステム化の尺度,Bem性役割尺度(BSRI),およびメンタルヘルスを測定するHopkins Symptom Checklistに基づいた尺度を用いて大学生981名を対象に質問紙法で行った。先に,共感・システム化の各下位尺度の特徴を明らかにした。階層的重回帰分析の結果,性役割意識とメンタルヘルス間で認知スタイルが媒介変数として機能していることが示唆された。男女ともに,性役割意識は認知スタイルに正の影響を与えた。男性性と女性性によって媒介された共感は,有意に良好な影響をメンタルヘルスに与えた。さらに,女性では男性性,または男性性と女性性に媒介されたシステム化はメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を示した。すなわち,女性だけに性役割が関わるシステム化の在り方に多様化がみられた。

  • ―横断研究による精神的健康への影響の検討
    市川 玲子, 村上 達也
    2016 年 25 巻 2 号 p. 112-122
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    パーソナリティ障害(PD)は対人関係機能の障害によって特徴づけられ,その根底にアタッチメント・スタイルの影響が指摘されてきた。先行研究において,境界性・自己愛性・演技性・依存性・回避性PDと不適応的なアタッチメント・スタイルとの関連や,これらの精神的健康への影響について明らかにされているが,媒介プロセスについては検討されていない。そこで本研究は,不安定的なアタッチメント・スタイルが,これと関連するPDを媒介して精神的健康に及ぼす影響について検討することを目的とした。調査対象者は298名の大学生であり,各PD傾向,2次元から構成されるアタッチメント・スタイル,抑うつに関する項目に回答した。共分散構造分析と媒介分析の結果,境界性・回避性PD傾向が2種のアタッチメント・スタイルと抑うつの間を媒介することと,演技性PD傾向は見捨てられ不安と抑うつの間を媒介して抑うつの低さに寄与することが示された。

  • 星 かおり
    2016 年 25 巻 2 号 p. 123-134
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,若年フルタイム就労者の仕事満足に対するプロアクティブ行動の7つの方略の効果を検討することであった。質問紙調査を行い,学卒後5年以内のフルタイム就労者168名を分析対象とした。重回帰分析の結果,仕事満足に対して,プロアクティブ行動の7つの下位尺度のうちポジティブフレームのみが有意な効果を示した。若年フルタイム就労者は,他者や環境への働きかけを行うより,自己焦点型の方略であるポジティブフレームを選択しており,与えられた状況をポジティブに捉えることが仕事の満足感に影響を与えることが示唆された。しかし,プロアクティブ行動は先を見越した行動であることから,一時点のプロアクティブ行動についての効果については,ある程度の期間が経過してから効果を測定し検討することが今後は必要であろう。

  • ―セルフ・モニタリングの二次元性に注目して
    大嶋 玲未, 宮崎 弦太, 芳賀 繁
    2016 年 25 巻 2 号 p. 135-150
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    個人が組織内の政治を認知し,用いる程度には個人差が存在し,前者は組織内政治の知覚,後者は政治スキルと呼ばれる。セルフ・モニタリングはこの両者の規定要因として注目されてきたが,政治スキルとの間には正の相関が認められている一方で,組織内政治の知覚との関連性は,予測に反して無相関であることが報告されている。本研究では,セルフ・モニタリングの2つの下位尺度(感受性,変容性)を考慮することで,組織内政治の知覚および政治スキルとの関連性をより明確にすることを目的とした。調査対象者は正社員として勤務する309名(男性231名,女性78名),平均年齢は44.20歳(SD=8.16歳)であった。結果から,組織内政治の知覚は感受性,政治スキルは変容性と強く関連していることが明らかとなり,組織内政治にかかわる個人差とセルフ・モニタリングの関連性を検討する際には,セルフ・モニタリングを多次元で捉える必要があることが示唆された。

ショートレポート
追悼特集
  • 渡邊 芳之
    2016 年 25 巻 2 号 p. 178-181
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    2015年から2016年にかけてのごく短い間に,私たちの学会は3人の偉大な先達を相次いで失いました。大村政男先生(1925年10月4日生,2015年10月31日逝去),星野命先生(1927年8月24日生,2015年11月7日逝去),藤永保先生(1926年10月2日生,2016年1月21日逝去)です。3人の先生はいずれも日本パーソナリティ心理学会の前身である日本性格心理学会(1992年6月設立)の設立発起人,初代の理事として学会の設立に参加され,とくに大村先生は初代の副理事長,2代目理事長として初期の学会運営に大きく貢献されました。

    先生方のパーソナリティ心理学への思いは,『性格心理学研究』(現在の『パーソナリティ研究』)の第1巻第1号(1993年3月)に掲載された論文やシンポジウム記録を読むと,いまも強く伝わってくるものがあります。先生方はつねに,パーソナリティとはなにか,パーソナリティをどう捉えるか,パーソナリティ研究の意義はなにか,という根本的な問題を考え続けておられました。私たちも忘れずにそうした根本的,原理的な問題を考え続けることで,先生方の功績を引き継いでいきたいと思います。

    『パーソナリティ研究』では追悼特集として,3人の先生方にゆかりのあった会員から,各先生の思い出を語っていただくことで,先生方への追悼に代えることとし,会員の皆様とともに先生方を偲びたいと思います。

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