パーソナリティ研究
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原著
思考抑制傾向とストレス経験が考え込みと反省的熟考に与える影響
服部 陽介
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2018 年 26 巻 3 号 p. 244-252

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抄録

先行研究において,思考抑制傾向とストレスフルな出来事の経験の組み合わせが反すう傾向を促す可能性が指摘されており,その背景には即時的増強効果の影響があると考えられてきた。本研究では,反すう傾向を考え込みと反省的熟考という2側面に分割し,思考抑制傾向,ストレス経験,反すう傾向の関係について検討を行った。大学生212名に対し,約3カ月の間隔で2回の調査を実施した。その結果,思考抑制傾向とストレス経験が,それぞれ独立に,考え込みを強めることが示された。この結果は,即時的増強効果とは異なる要因が,思考抑制傾向と反すう傾向を関係づける働きを担っている可能性を示している。思考抑制傾向と反すう傾向の関係を検討するうえでの今後の方向性について議論した。

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© 2018 日本パーソナリティ心理学会
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