2018 年 27 巻 1 号 p. 1-11
本研究の目的は,日本語版Emotional Approach Coping Scales(EAC)を開発し,特性的な情動焦点型コーピングが気分に与える影響を検討することであった。研究1では,EACについて5週間の期間をあけ2度の回答を参加者に求めた。その結果,EACは感情処理と感情表出の2下位尺度で構成され,いずれも高い信頼性と妥当性が示された。研究2では,日本語版EACとPOMSを用いて情動焦点型コーピングが日常の気分に与える影響を検討した。階層的重回帰分析の結果,感情表出は男女で怒り–敵意を,男性で疲労を高めた。一方,感情処理は男女で活気を高め,男性で疲労を低減した。さらに女性における交互作用も疲労において有意であった。本尺度を使用する際の制限や,今後の展望が論議された。