パーソナリティ研究
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原著
複数の心配関連刺激の処理における心配傾向の影響
富島 大樹末永 清菅沼 憲治山口 豊一藤生 英行
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2018 年 27 巻 2 号 p. 140-148

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抄録

心配傾向の高い者は,同時に複数の心配ごとを抱えているという。ただ,心配関連の複数の情報に対する処理過程に注目した研究は見られない。31名の健常な大学生と大学院生(男性:9名,女性:22名,平均年齢:23.71歳)が2種類の刺激(心配語と中性語)を用いた修正視覚探索課題を実施した。分析の結果,反応時間では,心配傾向の高い者は,妨害刺激が中性語の際に,中性語に比べ心配語の標的の検出がより早く,心配語への注意の促進のバイアスがあり,心配が意識に侵入することに関連しているものと考えられた。また心配傾向が高い者は,心配に関連する情報が多く提示された際に,標的の検出が遅くなっていた。心配傾向の高い者は,心配語に対する注意の解放困難のバイアスがあると考えられた。心配語の処理における要因について,不安障害に関連した臨床的適用と今後の研究の方向性について議論した。

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© 2018 日本パーソナリティ心理学会
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