パーソナリティ研究
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対人過敏傾向・自己優先志向が対人ストレスイベント,抑うつに及ぼす影響についての縦断的検討
村中 昌紀山川 樹坂本 真士
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2019 年 28 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

1990年代以降,日本の精神科医によって従来のメランコリー型のうつ病とは異なる特徴をもつ新しいタイプの抑うつ症候群の存在が報告されている。先行研究では対人過敏傾向,自己優先志向は新しいタイプの抑うつ症候群と関連する認知・行動の様式であることが報告されており,これらの特徴を測定する尺度として対人過敏・自己優先尺度が開発されている。本研究の目的は対人過敏傾向及び自己優先志向が対人ストレスを生起させ,それにより抑うつが発生するという仮説を検討することであった。本研究では大学生を対象とした縦断調査を実施した。調査には計116名の大学生が参加した。パス解析の結果は仮説を支持した。この結果は,対人過敏傾向及び自己優先志向が対人ストレスを媒介とし抑うつに影響することを示唆している。これらの知見は新しいタイプの抑うつ症候群の発生がストレス生成モデルによって説明できることを示している。

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© 2019 日本パーソナリティ心理学会
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