2023 年 32 巻 1 号 p. 1-10
近年の研究で援助者が被援助者だけでなく第三者からも批判される可能性が示唆されている。そこで本研究では,援助行動にかかるコストとして金銭,危険,努力,時間の4つを想定し,印象低下理由として規範逸脱,利己的動機,非必然性,心的負担の4つを想定した。コストを独立変数とした上でそれぞれのコストが通常のシナリオと過剰なシナリオを作成し,場面想定法によって援助者の印象及び印象低下の理由について検討した。その結果,金銭,危険,努力の3条件において通常シナリオの援助者よりも過剰シナリオの援助者の印象が低かった。また,印象低下理由として金銭条件,危険条件では規範逸脱の影響のみが大きく,努力条件,時間条件では規範逸脱と非必然性の影響が大きかった。