パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
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32 巻, 1 号
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原著
  • 志澤 翔太郎, 川上 直秋, 宮本 聡介
    2023 年 32 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2023/04/28
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー
    電子付録

    近年の研究で援助者が被援助者だけでなく第三者からも批判される可能性が示唆されている。そこで本研究では,援助行動にかかるコストとして金銭,危険,努力,時間の4つを想定し,印象低下理由として規範逸脱,利己的動機,非必然性,心的負担の4つを想定した。コストを独立変数とした上でそれぞれのコストが通常のシナリオと過剰なシナリオを作成し,場面想定法によって援助者の印象及び印象低下の理由について検討した。その結果,金銭,危険,努力の3条件において通常シナリオの援助者よりも過剰シナリオの援助者の印象が低かった。また,印象低下理由として金銭条件,危険条件では規範逸脱の影響のみが大きく,努力条件,時間条件では規範逸脱と非必然性の影響が大きかった。

  • 解良 優基
    2023 年 32 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 2023/05/30
    公開日: 2023/05/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,親子間における知能観の伝達過程について,両親の間の知能観の一致度が調整する可能性について検討した。中学生の子をもつ父親と母親,そしてその子ども211世帯を対象に,両親および子どもの知能観を測定したほか,子どもには両親がどのような知能観をもつかという認知についても尋ねた。調整媒介分析の結果,父親では,両親の間で知能観が一致しているとき,父親の知能観は子どもが認知する父親の知能観を媒介し,子ども自身の知能観に影響を及ぼした。一方,両親の知能観の一致度が低いとき,父親がもつ知能観は,子どもが認知する父親の知能観を予測しなかった。母親においては,父親との知能観の一致度にかかわらず,母親の知能観は子どもが認知する母親の知能観を媒介し,子ども自身の知能観に影響した。なお,それぞれ親の知能観から子どもの知能観への直接効果は一致度にかかわらず有意であった。子どもの増大的知能観への支援のために,両親の知能観へと介入する必要性が示された。

  • 元木 咲葵, 桂川 泰典, 飯島 有哉
    2023 年 32 巻 1 号 p. 42-52
    発行日: 2023/06/07
    公開日: 2023/06/07
    ジャーナル フリー
    電子付録

    近年,不登校の中でも「無気力型不登校」の生徒数が増加傾向にある。無気力型不登校は,葛藤を抱える情緒混乱型不登校とは区別されており,無気力の近接概念である「アパシー」の状態像を含むものであると予想される。本研究では,無気力型不登校へと至る生徒の心理的な状態像を捉えることを目的とした測定指標として,中学生におけるアパシー傾向を測定する尺度を作成し,登校回避行動および出欠席状況との関連から妥当性の検討を行った。その結果,研究1では「気力の低下」「他者への同化」「対人交流の回避」「将来展望のなさ」の4因子から成るアパシー傾向尺度が作成され,信頼性および収束的妥当性が確認された。研究2では,交差妥当性および基準関連妥当性(併存的妥当性,予測的妥当性)が確認された。以上より,無気力型不登校の前駆状態を説明する概念としてアパシーを用いる有効性が示された。

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