物理教育
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レーザー幾何光学と線形物理学
石田 博幸
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1979 年 27 巻 1 号 p. 14-20

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抄録

高校物理教育で幾何光学が削除され,光が波動の中でのみ取り上げられている扱い方からみて,幾何光学の斜陽傾向は,はっきりしている.その中にあって大学教養物理での幾何光学も,その目的を明確に持ち得ず,顕微鏡や望遠鏡の理解を目的として終っているように思える.この論文では,高校の数学で修めてきている線形代数を土台にして,幾何光学を,線形物理教育の教材とすることを提案する.それによって,自然を記述するために必要な物理量の数やその選択,及びそれによって表現される自然の"見え方"の相異について把握させることができよう.線形表現された幾何光学の実験は,やはり表現されたマトリクスの各パラメーターが直接,測定対象でなければ,その意義が失なわれてしまう.このために,レーザーを"光線"とみなしたいくつかの実験を整えた.光電測光に頼らない場合,その測定精度は,必ずしも充分ではなく,試料として与えるレンズの選択にも注意を要するが,幾何光学の実験としてのみならず,線形物理教育の教材として充分にその意義を発揮できるものと信ずる.

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© 1979 日本物理教育学会
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