電界や磁界が観測者の運動状態によって現れたり消えたりする事は,生徒にとって非常に不思議に思われるらしく,生徒からここ数年程,毎年のように似たような質問を受けている.今年度は生徒から出された質問をきっかけとして,電磁気法則が電磁場や時空の相対性といかに深く関わっているかを,60分程の時間を割いて授業の中で展開してみた.高校電磁気で十分扱える簡単な事例を観測者の立場を変えて考察することにより,電磁場や時空の相対性を導くことが可能である.本稿は授業での実践報告と,時間の都合上授業では展開できなかった指導試案から成り立っている.