理科Iの物理や地学の領域を教えていると小さい温度変化や熱量を測定したいことが多い.理科Iは内容の割りに時間が不足するため生徒実験には限界があり,演示にも使える微小温度差計がほしい.現在市販されているものでは投影用サーミスター温度計がこの条件に近いが,サーミスターの支持部分の熱容量が大きいうえ,ディジタル表示のため温度変化が直感的にわかりにくい.そこで指針型のサーミスター温度差計を自作して使っていたが,なおサーミスター自身の熱容量が大きいことや互換性がないなどの問題点があった.香川県内の研究グループで数年前から時々この問題が話題になっていたが,昨年,県教育センターの村尾美明氏(現在高松高校)により,0.1mmφ熱電対とOPアンプLP 308を使ってこの目的に適する温度差計が製作された.また更に小さい熱容量が必要な場合はタングステンの0.01mmφ線を抵抗温度計として使えばよいこともわかったので,それらを使っていくつかの演示実験をしてきた.