2007 年 55 巻 3 号 p. 280-283
今春も,第16回の東京における「今春の物理入試問題についての懇談会」(通称「入試懇談会」)が実施された。昨年度から現行学習指導要領による大学入試が行われ,この課程での2年目の各大学の入試問題は,昨年の状況も踏まえた視点から出題されたことになる。昨年は問題の題材や程度,範囲について,大学も高校も手探りの要素を抱えての議論であったが,今回はより具体化した議論が展開された。その結果,問題の適否もさることながら,カリキュラムの在り方に関する議論にも展開し,前・後半共に,活発で有意義な議論・情報交換がなされた。昨年度までと同様,中等教育(およびそれに接続する大学初年級)における物理のカリキュラムの問題を軸としつつ,大学・高校間の相互理解と提携が,ますます重要な課題となっていることが,実感させられた。