2009 年 57 巻 4 号 p. 323-327
中学校理科の新学習指導要領において,新出または移行される項目に対する教員養成系の大学生の学習状況や意識等についてアンケート調査を行った。その結果,現行の下では,高校で「物理II」まで履修しなければ新課程の全ての項目を学習する機会がないことが確認されたが,たとえ履修していてもその理解に対する自信度は,高校物理を全く履修していない学生と大差ないことが明らかになった。その要因のひとつとして,実験を通した学習経験の有無が挙げられ,その経験が少ない項目ほど自信度は減少する傾向がみられた。ここで明らかになった実態は,実験を通した学習の重要性を再認識させるものであり,今後の教員養成においてこれまで以上に意識する必要があることを示唆している。