物理教育
Online ISSN : 2432-1028
Print ISSN : 0385-6992
ISSN-L : 0385-6992
変位電流と磁場の関係について(変位電流とは何か)
菅野 礼司
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 60 巻 1 号 p. 32-37

詳細
抄録

電磁気学のマクスウェル方程式のなかの変位電流について,「変位電流」は存在せず,それは電場の時間的変化を示すだけであり,しかも変位電流が磁場をつくるという旧来の説は誤りであるという新説が,近年唱えられている。その新説の根拠とされる論理と,モデルについて吟味する。相対論的場の量子論による真空の物質性,作用伝達について相対論的遅延効果,および電磁場を媒介とする近接作用の立場を考慮すれば,その新説は疑わしい。「変位電流」は存在し,かつそれは磁場をつくると結論できる。

著者関連情報
© 2012 日本物理教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top