抄録
一般に, 光電効果とコンプトン効果は光の粒子説の根拠と見做されているが, 波動説によってこれらの効果を説明することもできる。著者はこれを以前にパリティ誌などで論じたが, その後より理論的に詳しいW.E.LambのAnti-photon(反光子)と題する論文も発表されている。しかし, 文献1)のコンプトン効果の波動説による説明は, 計算が一部省略されたりして, 大変分かりにくい。弾性球の力学で反発係数1の場合でも, 斜め衝突の計算は容易でない。そこで, 初めから任意の散乱角で計算しないで, 以下のようにコンプトン効果を波動説で平易に説明することを試みた。