文化的・社会的に多様化する生徒の特性に対応する学校教育を想定し,東京学芸大学教育学部附属高等学校大泉校舎(以降高校とする)と東京学芸大学教育学部附属大泉中学校(以降中学校とする)が共同で実施しているカリキュラムの編成に関する基礎研究の一環として,本年度より中高合同で新教科「知的探究」を設置している.この新教科の自然科学領域の学習活動(講座)において試みている教材を例示しながら,総合的な学習における物理教材の果たす役割について考察する.この講座では,興味深いからくりのある民芸品などの玩具のうごきや構造について,中学校や高校で学習する物理や数学の方法や考え方を用いて分析し,その分析結果をもとにオリジナルな"うごくおもちゃ"を設計して製作する一連の活動を通して,身近なところに内在する物理の諸現象(法則)について体験的に学習したり科学(論理)的な考え方や方法を身につけることをめざしている.本教材は試行途上にあり完全な状態とはいい難いが,教材の展開(活動)の方法や生徒の活動状況(反応)について報告を行い,議論の話題提供としたい.