ペストロジー
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Print ISSN : 1880-3415
事例報告
一般住宅地の屋内外に設置したフェロモントラップに捕獲されたノシメマダラメイガおよびタバコシバンムシの個体数
─関東地方11カ所における2018年の調査─
宮ノ下 明大廣岡 裕吏佐野 俊夫
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2020 年 35 巻 2 号 p. 69-73

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抄録

2018年10,11月に,関東地方(東京都,埼玉県,神奈川県,茨城県)の一般住宅地11カ所において,家屋の内外に3種類の食品害虫(ノシメマダラメイガ,タバコシバンムシ,チャマダラメイガ)を捕獲可能なフェロモントラップ(セリコW+)を設置し,捕獲調査を行った.トラップは,戸建て住宅や集合住宅に,1カ所につき屋内と屋外に1個ずつの計2カ所設置した.ノシメマダラメイガとタバコシバンムシは同じトラップに捕獲されたが,チャマダラメイガは捕獲されなかった.また,今回の複数害虫が捕獲可能なトラップの捕獲性能は,従来の単独種用のトラップと大きな差はなかった.
ノシメマダラメイガは,屋内の4カ所から合計19個体が捕獲されたが,発生源を確認できなかったことから,屋外からの侵入と考えられた.屋外では11カ所すべての地域で捕獲され,その総数は349個体であった.タバコシバンムシは,屋内の7カ所から34個体が捕獲されたが,発生源を確認できなかったことから,屋外からの侵入と考えられた.屋外では11カ所の内9カ所で捕獲され,その総数は67個体であった.
一般住宅地において, 両種の屋内発生は非常に少ないと考えられた.家屋内の両種の捕獲数は,家屋の密封性と関連しており,密封性の低い戸建て住宅は,集合住宅よりもノシメマダラメイガの侵入頻度が高いと考えられた.また,タバコシバンムシはノシメマダラメイガよりも捕獲数は少なかったが,小型で家屋内に侵入しやすいと考えられた.

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© 2020 日本ペストロジー学会
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