ペストロジー学会誌
Online ISSN : 2432-1532
Print ISSN : 0916-7382
原著
ゴキブリシェルターと薬剤処理板を併置したときのチャバネゴキブリに対する殺虫剤の効果
渡部 泰弘望月 香織高橋 朋也田原 雄一郎
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2001 年 16 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

プラスチック容器(37cm×25cm)内で殺虫剤処理ベニヤ板(20cm×5cm)を様々なゴキブリシェルターとともに入れてチャバネゴキブリ成虫に対する致死効果を調べた.シェルターの隙間が増えた場合やシェルターに10cmの下駄履き(PILOTIS)を設けると,多くの薬剤で100%死亡が遅延した.また,雌は雄より100%死亡が遅延する傾向にあった.薬剤の比較検討では,ペルメトリン(a.i.500mg/m2)の累積死亡率は伸びず,1段シェルターを除いて雌雄とも供試虫の60%以上が8日間生き延びた.プロポクスル(a.i.500mg/m2)においては,雌の死亡率が70%に留まった.雄に対しても初期の効果は優れたが5日目以降に累積死亡率の上昇が停止した.これは,薬剤処理面に対するチャバネゴキブリの忌避現象のためと思われる.クロルピリホスメチルとフェニトロチオンMC剤(ともにa.i.500mg/m2)では,一部を除いて8日以内で100%の死亡率が得られた.ヒドラメチルノン(a.i.250mg/m2)は雌雄に対して下駄履き10段を除いて3〜8日までに100%死亡が見られた.フィプロニル(a.i.5mg/m2)は極めて速効的で雄は2日以内で,雌は3日以内で全数が死亡した.

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© 2001 日本ペストロジー学会
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