ペストロジー学会誌
Online ISSN : 2432-1532
Print ISSN : 0916-7382
16 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
原著
  • 渡部 泰弘, 望月 香織, 高橋 朋也, 田原 雄一郎
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2001/05/30
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー
    プラスチック容器(37cm×25cm)内で殺虫剤処理ベニヤ板(20cm×5cm)を様々なゴキブリシェルターとともに入れてチャバネゴキブリ成虫に対する致死効果を調べた.シェルターの隙間が増えた場合やシェルターに10cmの下駄履き(PILOTIS)を設けると,多くの薬剤で100%死亡が遅延した.また,雌は雄より100%死亡が遅延する傾向にあった.薬剤の比較検討では,ペルメトリン(a.i.500mg/m2)の累積死亡率は伸びず,1段シェルターを除いて雌雄とも供試虫の60%以上が8日間生き延びた.プロポクスル(a.i.500mg/m2)においては,雌の死亡率が70%に留まった.雄に対しても初期の効果は優れたが5日目以降に累積死亡率の上昇が停止した.これは,薬剤処理面に対するチャバネゴキブリの忌避現象のためと思われる.クロルピリホスメチルとフェニトロチオンMC剤(ともにa.i.500mg/m2)では,一部を除いて8日以内で100%の死亡率が得られた.ヒドラメチルノン(a.i.250mg/m2)は雌雄に対して下駄履き10段を除いて3〜8日までに100%死亡が見られた.フィプロニル(a.i.5mg/m2)は極めて速効的で雄は2日以内で,雌は3日以内で全数が死亡した.
  • 辻 英明
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2001/05/30
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー
    小型ケージ(17×17×14cm)および大型ケージ(57×57×30cm)内の米ぬか容器のポリエチレンフィルム(厚さ20ミクロン)の蓋にピンホールがなくても,ノシメマダラメイガ成虫が容器上部(蓋)に産卵し,米ぬかの入っていない容器の蓋には全くあるいはほとんど産卵しなかった.米ぬかが入っている容器では,ポリエチレンフィルムを4枚重ねた蓋面でも多くの産卵があった.一方,ポリエチレンフィルムにアルミ箔(厚さ15ミクロン)を重ねた場合や,ポリ塩化ビニリデンフィルム(厚さ10.5ミクロン)単独の場合は産卵がほとんどなかったが,アルミ箔にピンホールがある場合は蓋面への産卵があった.これは,米ぬかの成分がノシメマダラメイガを誘引し産卵させる効果があり,その成分はポリエチレンフィルムを通過するが,アルミ箔やポリ塩化ビニリデンフィルムは通過し難いことを示している.
  • 竹中 淳, 松崎 沙和子
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2001/05/30
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    1.1998年に高知で採集されたイエバエのdiflubenzuron抵抗性コロニーは,33代目でIC50値>40,000ppmを示し,感受性コロニーは,30代目でIC50値1.16ppmを示した.

    2.これらの抵抗性,感受性コロニーの交配F5,F8は,IC50値42.2~47.5ppmを示し,それらの濃度―羽化阻害率応答は,625~40,000ppmで,羽化阻害率83.9~89.7%にプラトーを生じた.

    3.上記交配F5の50ppm diflubenzuron 淘汰1~3代目は,IC50値 > 40,000ppmを示し,それらの濃度―羽化阻害率応答は,625~40,000ppmで,羽化阻害率27.4~37.4%にプラトーを生じた.

    4.上記抵抗性コロニー33代目の10,000ppm diflubenzuron 淘汰1~3代目は,40,000ppm以下で感受性を示さなくなった.

    5.これらの結果は,高知の施設園芸地帯で採集された diflubenzuron抵抗性コロニーが,625ppm以下から感受性を示す集団と40,000ppm以下に感受性を示さない集団から,プラトーの生ずる羽化阻害率の示す割合で構成される混合個体群であることを示唆した.

  • 坂下 琢治, 高橋 朋也, 日本ペストロジー学会若手談話会有志
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2001/05/30
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    1997年と1998年の2年間にわたって,1都1道1府18県において屋外と屋内でのタバコシバンムシおよびジンサンシバンムシの屋内および屋外における捕獲消長について,フェロモントラップの捕獲状況から調べた.

    (1) 屋外では,タバコシバンムシは3月後半から8月後半,ジンサンシバンムシは 2月後半から7月後半の聞に捕獲が開始された.

    (2) 屋内では,タバコシバンムシでは2月後半から9月前半,ジンサンシバンムシでは4月前半から8月後半の間に捕獲が開始された.

    (3) タバコシバンムシおよびジンサンシバンムシともに,屋内より屋外で先に捕獲が開始する傾向がみられた.

  • 小曽根 惠子, 金山 彰宏
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2001/05/30
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    ゴキブリ指数は,現場における適切な駆除計画や駆除後の効果判定に用いられる等,ゴキブリの生息状況を把握するために欠かせない.

    ゴキブリの正確な生息状況を把握するために,ゴキブリ指数を算出する際の現場における粘着式トラップ使用法をチャバネゴキブリを対象に検討した.その結果,個体数把握には以下の設置法によって最適なゴキブリ指数を求められることがわかった.

    1.トラップの適切な設置場所を選定するためには事前調査が不可欠である.すなわち,数多くのトラップと広範囲に設置した調査結果から,安定した捕獲の可能な場所を選定することが必要である.

    2.捕獲される個体数の多い場所と少ない場所とでトラップの設置期間を工夫する必要がある.捕獲個体数の多いところでは短期間,捕獲個体数の少ないところでは長期間トラップを設置することが望ましい.

短報
事例報告
feedback
Top