本研究は,地方自治体の政策決定要因として,首長や議会など地方内部の政治的特性に注目し,計量的にその影響を明らかにしようとするものである。とくにここでは,地方自治体の意思が比較的表れやすい行政改革への取組みに注目する。今後,地方分権の進展にともない,地方財政や地方行政における自治体内部の政治的意思決定は,その重要性がより高まっていく。その過程を考察するための第一歩としても,今回,このような検証を試みている。
本稿の検証結果からは,今日の各自治体の行政改革への取組み具合は,財政状況や都市規模などの社会的・経済的環境のみならず,首長の党派性や選挙競争の程度,議会との関係といった政治的環境によってもやはり影響を受ける可能性が示唆された。