2006 年 2 巻 p. 233-248
政府との相互補完性において注目されているサードセクターが生ずる原因としては,財・サービスの特殊性に基づく利潤の非分配制約に着目した議論が現在主流であるが,政府の補助が高くかつ自律的に活動している国の事例が説明できない。またヨーロッパの「社会的企業」論は,企業,国家,コミュニティの結節点としてサードセクターを位置づけているが,それは依然としてセクター論にとどまっている。本研究では社会システム論の考え方を取り入れ,経済システムを,組織が他の組織や,個人,政府と結ぶ関係性によって類型化する方法をとった。これに基づいて,日本とドイツの高齢者福祉事業をめぐる制度の比較を行った結果,ドイツにおいては補完性原理による「自由福祉連盟」を中心としたサードセクターの自律性が強いのに対して,日本の事業者においては,非市場性,非政府性が希薄であることが確認された。