財政研究
Online ISSN : 2436-3421
研究論文
地方公共サービスの住民負担と財政調整
齊藤 由里恵
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2008 年 4 巻 p. 201-217

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抄録

 本稿では,地方交付税がもつ財政調整機能によって,地方公共サービスの住民負担がどれだけ平準化されているか,地域間の財政調整機能を個々の経費ごとに分析をした。また,人口規模が全体の不平等化に及ぼす要因,各経費の全体の不平等度への寄与を分析した。

 本稿の分析結果は次の通りである。①キング尺度による不平等度の測定では,財政調整前の財源(地方税)よりも財政調整後の財源(地方税+地方交付税)の不平等度が高い。そして,財政調整前財源と財政調整後財源の順位が大幅に逆転している。②経費別のキング尺度の結果では,各経費の総額と人件費はほとんど同様の値を示している。③タイル尺度による要因分析では,人口規模グループ別寄与度は,人口規模の小さい地域が全体の不平等度に寄与している。また,総額の構成要素の分解より,人件費が総額の不平等度を引き上げる要因であることが示された。

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© 2008 日本財政学会
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