財政研究
Online ISSN : 2436-3421
研究論文
公共資本の生産効果
―動学パネルによる再考
林 正義
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2009 年 5 巻 p. 119-140

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抄録

 本稿では1999年から2004年までの都道府県別パネルを用いて公共資本が地域生産に与える効果を考察した。本稿では特に,先行研究では十分に配慮されていない,生産から資本への遅れたフィードバックを通じた推定上の問題,生産要素や生産水準の時間を超えた動学的効果,そして,公共資本を含む諸変数の適切なデータ範囲に留意して推定を行った。推定の対象となる生産関数は状態依存モデルとADLモデルに拡張され,Arellano and Bond(1991)による手法を用いた推定が行われた。ADLモデルでは個別の生産要素の効果が有意に推定できず,生産関数アプローチが否定される結果となったが,状態依存モデルからは,民間資本の効果は有意に推定されなかったものの,他の変数に関してはもっともらしい結果を得ることができた。特に状態依存モデルからは,比較的大きな公共資本の生産力効果が推定された。

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© 2009 日本財政学会
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