本稿では,日本の労働所得税を対象に,就業構造基本調査の個票データを用いて最適な線形所得税(flat tax)の形状を独身世帯に対して推計する。また,同様の手法を負の所得税(NIT: negative income tax)にも応用する。働き盛りの単身世帯を対象として推計したところ,現行税制と比べて高所得者層に減税となるようなものも,増税となるようなものも,社会的な不平等回避度如何によって正当化されうる。ただし,いずれの結果においても最も所得の低い階層には減税することが望ましい。また,社会厚生の評価は,最適な線形所得税が現行の累進所得税よりも高いとの結果も得た。