静脈学
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原著
CTスキャンを利用した簡易法による未治療深部静脈血栓症(DVT)の診断
渋谷 卓有吉 秀男川崎 富夫
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ジャーナル オープンアクセス

2000 年 11 巻 4 号 p. 283-288

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抄録

未治療DVTの診断,リンパ浮腫との鑑別を目的にCTを応用した簡易診断法の開発と評価を行った.片側性の急性大腿腫脹を主訴とした患者10例を対象とした.検討項目は肉眼的に左右差(患側/健側)を視認し得るCT画像上の大腿筋束断面積比(FMR),脂肪断面積比,静脈内血栓とした.確定診断はduplex scan,静脈造影,RI静脈造影にて行った.結果はDVT8例,リンパ浮腫2例であった.DVTで左右差が視認できたのはFMR1.2以上であった.FMR1.2以上の全例が中枢型DVTでありDVTの87.5%(7/8)であった.リンパ浮腫はFMR1.1以下であり脂肪断面積比のみに増加を認めた.DVT3例に静脈血栓像を認めた.片側性の急性大腿腫脹を星する患者では大腿部単純CTでFMRを比較することにより未治療DVTを診断することが容易であり,脂肪断面積比を参考にすることでリンパ浮腫との鑑別診断も可能であった.

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