静脈学
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原著
深部静脈血栓症に対する下大静脈フィルタ―留置症例の検討
渡辺 俊一酒瀬川 浩一中村 好宏山本 裕之福元 祥浩増田 宏井畔 能文坂田 隆造
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2000 年 11 巻 4 号 p. 303-308

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抄録

大腿静脈より中枢側に及ぶ広範囲の急性期深部静脈血栓症(DVT),急性および再発肺塞栓症(PE)を適応として,2000年6月までに48例に下大静脈フィルターを留置した.永久的フィルター留置後は,原則として抗凝固療法を,一時的フィルター留置中は,線溶療法と抗凝固療法を併用した.留置時期は,PE手術では血栓除去で血行動悪を改善した後,可及的早期とした.一方,DVT手術や他科手術では留置を先行した.永久的および一時的フィルター留置に伴う合併症はなく,周術期のPE発生も認めなかった.一時的フィルターは5~9日間留置され,目的逹成後に合併症なく容易に抜去できた.平均観察期間26±22ヵ月(1~121ヵ月)で,抗凝固療法が不充分であった4例で再発PEを認めた.フィルター留置により致死的PEの発症が予防され,安全な付加手術が行えた.今後は,一時的フィルター留置が普及すると思われた.

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