2001 年 12 巻 3 号 p. 271-275
最近5年4ヵ月間に経験された1次性伏在静脈系静脈瘤385例428肢について,定型的ストリッピング術施行群(ST群)と選択的ストリッピング術施行群(SST群)に分類し,治療成績を比較検討した術後合併症として知覚鈍麻などの知覚神経神経障害をST群にのみ認め,大伏在静脈系静脈瘤(long saphenous vein; LSV),小伏在静脈系静脈瘤(short saphenous vein; SSV)ともに11.1%で,計11.1%となり有意差を認めた(p<0.0001).その他に重篤な合併症は認めなかった.初期治癒率はST群,SST群ともに100%で有意差を認めなかった.最終治癒率に関してもST群, SST群ともに100%で有意差を認めなかった.また,治療期間はST群が67.5±58.3B, SST群が66.6±55.7日で有意差を認めなかった.再発率はST群3.5%, SST群0%で,ST群で有意に高かった.これらの結果を考慮すると,伏在静脈系静脈瘤に対しては,侵襲の少ない選択的ストリッピング術が,定型的ストリッピング術に比べ優れていると考えられる.