静脈学
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原著
門脈浸潤を来した膵癌に対する拡大膵切除術と術中門脈内ステント留置の意義
濱田 円堀見 忠司森田 荘二郎石川 忠則長田 裕典西岡 豊岡林 孝弘高松 正宏
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2001 年 12 巻 3 号 p. 277-282

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抄録

門脈浸潤を来した進行膵癌に対しても,門脈合併切除により根治度A, Bが得られれば門脈浸潤のない根治度A,B症例と有意差のない予後が期待できると考えられている.

われわれは1986年10月より1998年12月までに門脈合併切除術を伴う拡大膵切除術を46例に対して施行した.

これらの予後を検討してみると,根治度A,B群は平均生存期間は12.3ヵ月,根治度C群は5.0ヵ月であり,前者が有意に予後良好で,そのうち1例に6年以上生存例を得た.一方後者は,非手術例の全国平均生存期間と比較しても手術の意義はなかった.

門脈浸潤のある膵癌の予後改善のためには術前診断の過大評価を避け根治性が期待できれば積極的切除でのぞむ以外にないが,根治性がなければ意義の乏しい手術となる.特に,門脈合併切除の際には側副血行路を切断後に手術の可否が判断される場合もあり,術式変更の際,術後の門脈血流が問題となる.われわれは門脈血管内ステントを応用してこの問題を回避し得た1例を経験したこれらの技術を併用し根治性のある手術を安全,かつ確実にすすめることが肝要である.

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