2003 年 14 巻 1 号 p. 25-30
下肢リンパ浮腫症例12例,13肢に対して手術侵襲が小さく,手術創も醜悪でないことから鼠径部におけるリンパ管-大伏在静脈吻合術(Lymphatic-venous shunt:L-V shunt)を施行した.リンパ浮腫の原因は原発性2例,子宮癌術後および放射線治療後が10例であった.手術方法はDegniのpull through法に準じて鼠径部に約7cmの皮膚切開を加え,大伏在静脈を露出し,周囲のリンパ管を静脈に埋没させる形で吻合した.リンパ管は術中に顕微鏡下に検索した.評価は臨床症状と下肢の周囲径で検討した.大腿,下腿,足関節いずれかの部位で周囲径が5cm以上減少したものを著効,3~5cmを有効,周囲径は変化ないが組織が軟らかくなったものをやや有効とした.有効率は84.6%であった.術直後より浮腫肢は軟化するため,患者の治療意欲は高まり,それを契機に保存的治療を追加して持続することが長期成績の向上につながるものと考えられた.