静脈学
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原著
肺動脈血栓塞栓症の剖検例における肺動脈・下肢深部静脈のbands & webs検出頻度の検討
呂 彩子景山 則正谷藤 隆信濱松 晶彦三澤 章吾村井 達哉
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2003 年 14 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

急性広範性肺動脈血栓塞栓症の9剖検例(男性3名女性6名,平均年齢59.8±16.5歳)の肺動脈・下肢深部静脈につき器質化血栓像であるbands and webs像(b&w)を組織学的に検索した.肺動脈では8例,下肢深部静脈では7例にb&wが確認され,反復性血栓の経過が推察された.肺動脈では検出頻度の高い例ほど中枢側の太い動脈をふくむびまん性のb&w分布がみられた.下肢深部静脈にb&wが存在しないかヒラメ静脈に限局した3例の肺動脈の平均b&w検出頻度6.2%に対し,b&wが下肢広範に存在する症例は40.0%と肺動脈でのb&w検出頻度が高かった.下肢深部静脈でb&wが広範囲にみられる症例では,反復性血栓の履歴が進行し,肺動脈の塞栓子による不可逆性の変化が強いことがわかった.下肢深部静脈血栓症を初期の限局性の段階で発見し,治療を行うことが反復性血栓による循環障害悪化防止のために重要と考えられた.

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