2003 年 14 巻 3 号 p. 233-238
下肢深部静脈血栓症(DVT)に対する新しい治療法である血管内治療について検討した.2000年4月より2002年5月までに15例に対し血管内治療を行った.平均年齢54.3才,男性9例,女性6例で,右側3例,左側12例であった.治療による肺塞栓予防のため一時的下大静脈フィルターを留置し,膝窩静脈より治療を行った.血管内治療はまずカテーテルによる直接的血栓溶解を行い不完全な場合はカテーテルによる血栓除去を追加し,ICS(iliac compression syndrome)合併例ではバルーン拡張術およびステント留置を行った.15例中8例の開存で53.3%の早期開存率を得られた.発症7日以内の開存率は66.7%であったが,8日以上経過した症例では33.3%に留まった.今後の長期成績,適応や方法について更に検討する必要があるが血管内治療は低侵襲であり今後DVTに対する治療法として第1選択となりうる方法である.
