静脈学
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総説
産婦人科における静脈血栓塞栓症の予防
小林 隆夫
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ジャーナル オープンアクセス

2005 年 16 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

血栓症はこれまで本邦では比較的稀であるとされていたが,生活習慣の欧米化などに伴い近年急速に増加している.日本産婦人科新生児血液学会の事業で調査した1991年から2000年における肺血栓塞栓症の発症数は,102施設からの集計結果では,産科領域では,76例発症し,死亡10例(13.2%)であった.これは全分娩数に対し0.02%,経膣分娩数に対し0.003%,帝王切開数に対し0.06%となり,帝王切開は経膣分娩より22倍発症が多かった.婦人科領域では,178例発症し,死亡24例(13.5%)であった.これは全手術数に対し0.08%で,良性疾患では全良性疾患手術数に対し0.03%,悪性疾患では全悪性疾患根治術数に対し0.42%となる.悪性疾患の発症率は,良性疾患の16倍,また帝王切開の7倍であった.これらの発症頻度を基準として4段階にリスク分類し,早期離床,弾性ストッキング,間欠的空気圧迫法,ヘパリン等を推奨する予防ガイドラインを作成した.

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