2006 年 17 巻 1 号 p. 47-51
症例は60歳男性で,悪性リンパ腫に併存しだ深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症に対し,下大静脈フィルター留置・抗凝固療法を行った転院後,化学療法を行うために抗凝固療法を中止したところ,フィルターの閉塞を来して再入院となった.抗凝固療法・線溶療法にて症状軽快したため,再び化学療法を受けるため転院した.医療技術の進歩に伴い深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症が診断される機会が多くなった.それと共に下大静脈フィルターの使用頻度が増し,合併症が無視できない.本症例は悪性腫瘍に合併した深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症に対し下大静脈フィルターを用いて加療し結果的に閉塞してしまったが,生命予後の改善には有効であったと考えられた.