静脈学
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原著
当院における下肢静脈瘤治療の変遷とフォーム硬化療法
内田 智夫
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 19 巻 4 号 p. 199-205

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抄録

1993年から2007年までに当院で診療した下肢静脈瘤患者数は1928例(男478例,女1450例)である.このうち何らかの治療を行ったものは計1314例で,その内訳は硬化療法単独250例,結紮術単独または結紮術併用硬化療法704例,ストリッピング術360例である.伏在静脈瘤に対する治療は,患者の負担を少なくする方針より,当初,鼠径部での伏在静脈結紮術と14.5%高張食塩水(コンクライトNa)による硬化療法を多く行っていた.しかし,再発しやすいため,その後,膝の上下の結紮を加えるようになった.2003年より1%ポリドカノールによるフォーム硬化療法を導入した.フォーム硬化療法は色素沈着が出やすい傾向があるが,高張液に比較して疼痛がほとんどなく,少量で効果が得られる利点がある.現在では伏在静脈瘤に対して,大腿部のみを抜去する選択的ストリッピング術と下腿部のフォーム硬化療法で治療することが多くなっている.

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