2009 年 20 巻 1 号 p. 29-35
血栓症を伴わない外腸骨静脈狄窄を3例経験し,経皮的血管拡張+ステント留置術が有効であったので報告する.【症例1】54歳,女性.右下肢腫張を主訴に来院.右外腸骨静脈の血栓症を伴わない狭窄に対して経皮的血管拡張+ステント留置術を施行し,下肢の腫脹は軽減した.【症例2】78歳,女性.左下肢腫脹・蜂窩織炎にて当科紹介.左外腸骨静脈の血栓症を伴わない狭窄に対して圧迫ストッキングの着用とワーファリンの内服を継続していたが,左下肢蜂窩織炎から敗血症・呼吸不全を発症.持続する左大腿部皮膚の発赤・硬化・疼痛に対して経皮的血管拡張+ステント留置術を施行し,皮膚は軟化して疼痛も改善した.【症例3】49歳,女性.右鼠径部痛・右下肢浮腫を主訴に来院.子宮内膜症による凍結骨盤・右水腎症の既往あり.右外腸骨静脈の血栓症を伴わない狭窄に対して経皮的血管拡張+ステント留置術を施行し,下肢の腫脹は軽減した.