2009 年 20 巻 1 号 p. 25-28
症例は33歳の女性で,今まで血栓症の既往はない.妊娠8週に右下肢の腫脹を認め当科を受診した.下肢静脈の超音波検査で深部静脈血栓症と診断され入院となった.入院時検査でプロテインC 43%と低下しておりプロテインC欠損症と診断した.妊娠2カ月のためCT,RI検査は不可能で.またMRIも12週までは禁忌とされていたため血栓の進展状況や肺塞栓の有無を確認する手段がなく,結果として人工妊娠中絶を行った.中絶後,直ちに造影CT検査を施行したが,右膝窩静脈より総腸骨静脈にかけての静脈内に血栓を認め,肺動脈領域では両側の下葉枝に血栓を認めた.また,人工妊娠中絶前に挿入したIVCフイルターには血栓の捕提は認めなかった.