静脈学
Online ISSN : 2186-5523
Print ISSN : 0915-7395
ISSN-L : 0915-7395
総説
下肢静脈瘤レーザー治療の医工学的背景
榊原 直樹天野 篤神作 麗島袋 高志
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2011 年 22 巻 4 号 p. 341-349

詳細
抄録

下肢静脈瘤の血管内治療のひとつであるレーザー焼灼法(EVLA)は低侵襲かつ患者の満足度が高い治療法である.しかしレーザーを使用する以上,レーザーに関する科学的背景を理解していないと思わぬ合併症に遭遇する危険性がある.レーザー光は波長,発振法,放射照度(照射エネルギー密度)で組織への侵達度が決定される.さらにEVLAでは血液内でレーザーを照射し,かつ照射部位を直視できない特殊性がある.血管内レーザー照射ではヘモグロビンと水分への吸収による発熱,水蒸気気泡の発生,凝血塊の形成と炭化が起こりファイバーの照射効率は低下する.複雑な因子が絡んでいる血管壁の焼灼メカニズムに対して,術中モニタリング法であるDuplexエコーのみでは治療の安全性維持に熟練を要する.本稿ではレーザー工学の基本に立ち返り,その物理的性質と生体内での治療メカニズムを論じ治療安全維持の一助としたい.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top