2012 年 23 巻 4 号 p. 345-351
●要 約:コメディカルとバスキュラーラボの重要性は脈管診療において確固たるものになっているが,施設間ごとにさまざまな問題を抱えている.当科は研究機関の役割を担う大学病院であり,現在,静脈・リンパ疾患の臨床研究を行っている.2009年6月から「脈管検査室」と称した検査室を設置し,主に,静脈・リンパ疾患患者を対象とし,当科の研究内容に則した検査を実施している.検査は看護師2名,検査技師1名のコメディカルにより,SF36を含めた問診,空気容積脈波法,インドシアニングリーン蛍光リンパ管造影法を実施し,データマネージメントも行っている.浮腫などの両疾患に共通する症状を鑑別し,両系統の関連性を調査することが研究内容の一つであり,これまで複数の新知見を報告している.バスキュラーラボ設置後,諸検査数は著しく増加しバスキュラーラボの設置の効果と考えている.当科のような研究機関施設にとって,データバンクの充実は,バスキュラーラボにおけるコメディカルに寄与するところが大きく,将来,研究の成果が日常診療に還元されると思われる.