2014 年 25 巻 3 号 p. 313-319
要約:2001 年より2013 年までの間に当科で挿入したIVC フィルター33 例について検討した.同時期に診療した深部静脈血栓症患者349 例(うち肺塞栓症合併21 例)に対する挿入率は9.5%であった.肺塞栓症合併例に限ると7 例にフィルターを挿入しており挿入率は33.3%であった.男性12 例,女性21 例,年齢27~82 歳,平均58.5 歳.経過観察期間1 カ月~132 カ月,平均31 カ月である.下大静脈フィルター挿入中,肺塞栓症の新たな発症はみられなかった.肺塞栓症合併の有無にかかわらず婦人科,整形外科などの術前に深部静脈血栓症を指摘されて肺塞栓症の予防目的で挿入したものが25 例と最も多かった.当院では永久留置による合併症をできる限り避ける方針とし,当初一時留置型を主に使用していたが,回収可能型が市販されて以降これを採用している.永久留置型1 例,一時留置型14 例,回収可能型18 例であった.初めから永久留置目的で挿入したのは回収可能型を含め8 例であった.回収可能型のうち11 例に挿入後10 日以内に回収を試み不成功だったのはALN 1 例のみで,回収率は91%であった.Neuhaus Protect 1例で,フィルターに血栓が多量に付着していたためウロキナーゼを末梢より持続注入し,溶解して抜去した.