静脈学
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原著
慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する外科治療—地方病院における最近の成績—
安藤 太三下村 毅田中 佐登司河村 朱美高田 基志
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2014 年 25 巻 4 号 p. 396-402

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抄録

要約:慢性血栓塞栓性肺高血圧症は肺動脈が器質化血栓によって閉塞して発症するが,肺高血圧を伴うようになると右心不全や呼吸不全が進行する予後不良な疾患である.本症に対する根治療法として肺動脈血栓内膜摘除術が施行される.愛知県一宮市の総合大雄会病院において,2013 年5 月からの6 カ月間に本症の9 例に手術を施行した.平均年齢は61.4 歳,性別は男性3/女性6 であった.肺動脈の閉塞形態は中枢型が6 例,末梢型が3 例であった.全症例で低酸素血症,高度の肺高血圧,低心拍出を有して,症状はNYHA III 度以上であった.手術は超低体温間歇的循環停止下に両側肺動脈の血栓内膜摘除術を行った.平均の体外循環時間は253 分,心停止時間は128 分,循環停止時間は43 分であった.手術成績は術後呼吸循環動態が著明に改善して良好であった.本症では術者の経験だけでなく慎重な手術適応症例の選択と,麻酔・術後管理・リハビリなど心臓血管外科チームによる周術期管理が重要であった.

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