2017 年 28 巻 1 号 p. 7-10
症例は25歳男性,幼少時にKlippel–Trenaunay–Weber syndrome(KTWS)を診断,就職後22歳より右下腿に皮膚潰瘍が出現,他院で圧迫療法と過去2度の植皮が行われたが治癒しなかった.動静脈奇形(AVM)が一因と考えられ当科に紹介.右下腿は発赤,腫脹,熱感があり,脛骨面に広範な潰瘍を認めた.圧迫療法継続では改善せず,AVMに塞栓術を行う方針とした.CTと血管造影にてComplex-combined vascular malformationを診断,球状塞栓物質で初回は前脛骨動脈(ATA)領域,5カ月後ATA, 腓骨動脈領域に塞栓術を行った.創処置と圧迫療法継続で潰瘍は縮小,皮膚科で植皮を施行し治癒した.KTWSのAVM多発症例では保存的治療が多く,外科的処置は稀で根治困難である.AVMの塞栓術における塞栓物質の選択は,血管構築や血行動態に応じて使い分ける必要がある.球状塞栓物質はさまざまなAVMにおける有効性が報告され,その治療効果が期待される.