静脈学
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原著
無症候性末梢型深部静脈血栓症の検討
島袋 伸洋孟 真橋山 直樹松原 忍根本 寛子小林 由幸益田 宗孝
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2018 年 29 巻 3 号 p. 309-314

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抄録

深部静脈血栓症(DVT: deep vein thrombosis)の中で,無症候性末梢型DVTの臨床経過は明らかではない.初発の無症候性末梢型DVT患者に対し,抗凝固療法を施行せず3カ月後,1年後の臨床経過を検討した.【対象と方法】2014年5月から2016年9月に当院で初発性DVTが疑われ,超音波検査で無症候性末梢型DVTと診断された127人159肢を対象とした.抗凝固療法を施行しないで,3カ月後,1年後の静脈血栓症塞栓症の再発,超音波検査上の血栓伸展の有無を確認した.【結果】3カ月および1年間に観察できた患者はそれぞれ125人,109人であった.観察期間中,すべての患者に症候性静脈血栓塞栓症の発症はなかった.超音波検査では43人(56肢)を観察し2人(2肢)を除き,中枢静脈への血栓伸展を認めなかった.【結語】抗凝固療法を施行していない無症候性末梢型血栓症は予後良好であった.

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