静脈学
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原著
下肢静脈瘤の重症度と動脈硬化パラメーターの関連についての検討
藤澤 康聡深田 穣治田宮 幸彦佐藤 宏
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2020 年 31 巻 3 号 p. 95-99

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抄録

いくつかの大規模疫学調査において,下肢静脈瘤患者では経年的に末梢動脈疾患(PAD)の発症頻度が高くなることが報告されているが,一方で実臨床においては静脈瘤とPADの関連をはっきりと実感することはなく,疫学調査で示された相関関係と日常臨床の印象には乖離が存在する.そこで今回,65歳以上の下肢静脈瘤手術患者421例について,術前VFI, ABI, PWVを測定し,静脈瘤の重症度と動脈硬化パラメーター間に関連性があるのかを検証した.結果,VFIとABI, VFIとPWVの間に有意な相関はみられなかった.またCEAP軽症群(C2–3)と重症群(C4–6)に分け,両群のABIとPWVを比較したが,どちらも有意差はみとめなかった.さらに片側のみ手術を行った238例について患肢群と健常肢群のABIとPWVを比較したが,ともに有意差はみとめなかった.今回のマクロ的検討では静脈瘤の重症度と動脈硬化パラメーターの間に明らかな関連はみられず,疫学調査で示された静脈瘤とPAD発症リスク間の交絡因子を明らかにすることはできなかった.しかし,この関連メカニズムや交絡因子を解明することは日常臨床における重要性が高いと考えられ,今後更なる研究の進展が望まれる.

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