2022 年 33 巻 1 号 p. 1-6
過去30年間に当院で診療した下肢静脈瘤患者のうちエコー検査で少なくとも1肢の大伏在静脈または小伏在静脈に逆流を確認できた3253例を対象とし大伏在静脈瘤と比較した小伏在静脈瘤の頻度,性差,左右差について検討した.大伏在静脈は正常で小伏在静脈瘤のみの頻度は10%であった.大伏在静脈瘤との組合せを含み小伏在静脈瘤が少なくとも1本ある頻度は16%であった.女性の占める割合は小伏在静脈瘤の方が大伏在静脈瘤の約2倍であった.左右差を検討すると伏在静脈瘤は左側が右側よりやや多く,その傾向は大伏在静脈瘤より小伏在静脈瘤の方が優位であった.両側の大伏在静脈瘤に比較して両側の小伏在静脈瘤頻度は少なかった.小伏在静脈瘤と大伏在静脈瘤の1本ずつの組合せは,同側同志より対側同志の方が多かった.C4以上の皮膚症状の発現率は小伏在静脈瘤の方が大伏在静脈瘤より低く,とくに潰瘍はまれであった.